加賀藩前田家の城下町として栄えた金沢市は、藩政時代からの美しい景観や文化財が数多く残され、加賀友禅や九谷焼、水引、和傘などの伝統工芸や、能楽や加賀万歳などの伝統芸能が今もなお受け継がれています。
また、金沢21世紀美術館や国立博物館工芸館など世界的な美術館・博物館があり、現代アートにも非常に力を入れている都市です。
この息づく伝統工芸と現代アートの調和した金沢の地で、美術と美術教育に携わってきた実績をいかし、本格的なアート・造形活動・体験に取り組みを取り入れた、豊かな教育と充実した研究に取り組むことのできるアフタースクールを目指します。




室長のメッセージ
1. 美術教育の今と、子どもたちの創造力
近年、子どもたちの学校教育の中で「美術(図工)」の授業時間は減少傾向にあります。
国語・算数といった主要教科が重視され英語、プログラミング科目が増える一方で、
「つくる・感じる・表す」時間が短くなりつつあります。
また、小学校では担任が全教科を担当するため、専門的な美術指導の機会が限られています。
その結果、子どもたちが自由に創作に没頭し、自分の表現を肯定される場が減ってきているのです。
2. 芸術がもたらす力
文化庁は次のように述べています。
「文化芸術は、人々の生活の礎となり日常に彩りと潤いを与えるとともに、豊かな人間性を涵養し、創造力や感性を育む、私たち人類にとって必要不可欠なものである。」
(出典:文化庁「文化芸術推進基本計画(第2期)」2020年)
美術教育は、単なる「絵を上手に描く時間」ではなく、
心を動かし、自分を見つめ、他者とつながるための大切な学びです。
AIやデジタル技術が進化する今だからこそ、
人間にしかできない「感じる力」「想像する力」「表現する力」が、これからの社会を支える基盤になります。
3. なぜ、造形特化型アフタースクールを作るのか
私たちが「アーツ」を立ち上げたのは、
子どもたちが“評価や時間に縛られずに創れる場所”をつくりたかったからです。
多くの学童や習い事では、カリキュラムに沿った学びが中心になります。
けれど、創造の本質は「予定通り」では生まれません。
子どもが自分で考え、試し、失敗し、もう一度挑戦する――
その繰り返しの中でこそ、本当の思考力や主体性が育つと私たちは信じています。
4. 「アーツ」が目指す学びの形
「アーツ」では、豊富な素材や道具を自由に使いながら、
一人ひとりが自分のペースで表現に取り組みます。
講師は、美大生や現役のアーティストたち。
「教える人」ではなく、「一緒に創る仲間」として寄り添います。
さらに、美術館見学や工房訪問などの特別プログラムを通して、
社会の中で生きる“アートの現場”にも触れます。
この「自分で感じる」と「他者の表現に出会う」という2つの体験を軸に、
子どもたちは自分の感性を信じ、表現する喜びを知っていきます。
5. 創造力が未来をひらく
Society5.0の時代、AIがどれほど進化しても、
人間だけが持つ「想像し、創造する力」は失われません。
美術教育は、知識を“覚える”教育ではなく、
自分の中にある感情や発想を“育てる”教育です。
それは、どんな時代にも通じる「生きる力」を育むものだと私たちは信じています。
この教室が、子どもたち一人ひとりにとって
“自分を表現し、未来を切り拓く原点”となるように——
私たちは、これからも創造の灯を絶やさず育んでいきます。

室長
永井ちなみ 先生
金沢美術工芸大学修士課程絵画専攻修了 修士(絵画)号取得
子どもたちにとって「創ること」は、心の奥にある世界を形にし、自分自身と向き合う大切な時間です。
私たちは、その“創造の時間”こそが、子どもの成長に欠かせない営みだと考えています。
絵を描くことやものを作ることを通して、子どもたちは「自分で考える力」「工夫する喜び」「表現する楽しさ」を自然に身につけていきます。
それは、将来どんな分野に進んでも生きる力の基盤になるものです。
子どもたちが自分の中にある“ひらめき”や“好奇心”を大切に育て、のびのびと創造できる場所。それが「アートスクール・アーツ」です。
「サポーター」となる美大生やアーティストと共に、溢れ出るキラキラしたアイデアを形にして、共にワクワクできる時間を一緒に過ごしましょう。
